先日、機動戦士ガンダムUCを9・10巻、ようやく読み終わりました。
なんか、ホッとしている反面、この小説がどのような形でアニメとして世に出て行くのか、また
「大人のガンダム」というキャッチフレーズで出された小説ですが、この「大人のガンダム」が
アニメとなり一般の方々に、多くのガンダムファン(小説を見ていないガンオタ)に受け入れら
れるのか?物語に区切りがついてしまいましたが、ユニコーンガンダムという可能性はまだまだ、
ガンダムの歴史にどのような足跡を残すか、まったく想像ができません。
私には、文才も笑いのセンスも、またガンダムへの愛を語るだけの知識もありません。(もしも、
ピアノが弾けたなら、みたいな感じです)機動戦士ガンダムUCが月刊ガンダムエースに掲載
された2007年初頭から2009年8月まで、やく2年半。当初、ガンダムエースに掲載されたユニコーン
ガンダムを見たとき、「これはガンダムじゃねぇ!ジム?あぁ、期待薄かな?小説だし」と不当
な評価を下してしまい、執筆をしているのが福井晴敏(先生)と聞き、正直、”「亡国のイージス」
とか書いてる一般受けするようなヤツ”としか受け止めておらず、批判的な位置にいました。
しかし、機動戦士ガンダムUCを読んでるうちに、いや読めばすぐに福井 晴敏という人物がどれだけ
”ガンダムを見て、ガンダムを学び、ガンダムを知り、ガンダムを愛している”かが深く伝わって
きました。その後、福井晴敏先生という人物を知ることになり、ガンダム(富野監督)のマニアで
ある事を知りました。
そして、いてもたってもいられず、単行本1・2巻そして、ユニコーンガンダムのプラモの発売を
記念して開催されたサイン会に福井先生に会いたい、と思い参加しました。
気付けば、福井先生が作り出すガンダムワールドに引き込まれていました。ガンダムワールドは、
富野監督が創り、多くのクリエーターによって造られており、特に宇宙世紀と言う舞台は、すでに
多くの作品で作られた”設定”により、”限りなく閉塞された舞台”であり、未来すら描くことが
難しい作品だった、と思います。
少しだけ、機動戦士ガンダムUCの余韻に浸らせてください。
(かなりネタバレです)
語りたいことが多くありすぎて、色々と文章にならないと思いますがヒマだった読んでください。
多くの設定があれば、そこには膨大な情報量による設定の補完と作品に対する矛盾との戦いになり、
ガンダムという多くのファンの厳しい目線は、いやがおうでもそういったものを洗い出され、指摘
され、批判を受けてしまう。しかし、この作品は、それら情報量を福井先生のガンダムへの愛と熱意
が補い(もちろん、設定考証するスタッフがいたとはいえ)ほとんどのガンダムファンが納得し、
また熱く語り合うに相応しいクォリティの高いモノになっていました。
私がこの作品が「ホンモノだ!」と思ったのは、袖付きと呼ばれるネオジオンの首魁”シャアの
再来”と呼ばれるフル・フロンタルの存在。
過去の作品、特に逆襲のシャア(CCA)以降を描く作品で”シャア・アズナブル”という人物を
”本格的”に存在を描いた作品はコレまでありませんでした。それは、CCAの戦いの結末として
アムロとシャアは”行方不明”ということになっており、二人の生死による情報は”タブー”と
されていたからです。生きているのか、死んでいるのか、わからないからこそ、そこに可能性が
生まれて、作品自体が行き続ける。そういった意味でも、その後の作品に二人の生死を決めるだけ
の”力”を持った作品はありませんでした。もちろん、私自身も知りたい!とは思いますが、
生死を決めてはいけない!という気持ちの方が強いです。
しかし、この作品に登場する”シャアの再来”には、”シャア・アズナブルが生きていた!”と
思わせるだけの、”真実味”溢れる文章が書かれており、福田先生の並々ならぬシャアへの想いが
伝わってくるからこその”真実味”でした。
「見せてもらおうか。”新しい”ガンダムの性能とやらを」やシャアのようなマスクをしていて、
主人公のバナージにマスクを取れと言われて「これはファッションのようなものでな。プロパガ
ンダといってもいい」と、本当のシャア?と思わせるような・・・前者のファーストのオマージュ
とも思われるセリフがあったと思ったら、”ガンダムファンが思い描くシャア・アズナブルなら”
という後者のセリフもある。これは、真偽両面からシャアであることを思わせるセリフでした。
シャアというタブーを真偽両面から、真正面から読者(ガンダムファン)に挑戦する姿勢が私には
、このガンダムが”ホンモノ”と感じさせるに十分な説得力がありました。
そして、もう一人の人物。
ミネバ・ラオ・ザビ。ザビ家最後の血にして、UC.0100ジオン共和国の自治権放棄を目の前にZZ以降、
正確にはZ以降、(ZZに登場したミネバは影武者。グリプス戦役後、シャアがミネバを保護したシーン
がPSゲーム機動戦士Zガンダムで描かれている)歴史の表舞台から消えていたジオンの象徴。その後
のミネバについてはムーンクライシスという漫画でも描かれていましたが、正史認定はされておらず
その存在の大きさと反比例して、行方が闇のままでした。少なからず、ガンダムファンはジオン共和国
の自治権放棄という史実を前に何らかの事件が起きないはずがない!という想いあり、CCAから
自治権放棄の7年間という大きな時代の節目に想いを馳せていました。
そんな7年間にシャアの再来、自治権放棄、そしてミネバ・ラオ・ザビが重なり合えば、ガンダムファン
じゃなくても、その作品自体の重要性を感じられずにいられませんでした。
そして、何よりこの作品が一番、ガンダムファンとくに全てのガンダムを肯定するファンを惹き
つけたのが”宇宙世紀のすべてのガンダムを補完するような設定の数々”。
もちろん、本当にすべてというわけではありませんが、多くのガンダムファンに酷評され続けて
いた「機動戦士ガンダムZZ」に肯定するだけでなく、”存在意義”すら持たせたのは本当に
感動すらおぼえました。
「機動戦士ガンダムZZ」に登場したネオ・ジオンのMSだけでなくザクスナイパー、ガザE、そして
連邦にはデルタプラスやスターク・ジェガン。MSと言う点でもカトキデザインのMSが脳内で躍動
するだけで、。・゚・(ノ∀`)・゚・。 ネェールアーガマが再び、大規模近代化改修を受け”ワンオフの
使えない艦”として登場し、多くの矛盾点を内包したコロニーレーザーに匹敵するハイパー・メ
ガ粒子砲をあくまで”理論上”という言葉でオブラートに包み込んでいたり。
ユニコーンのデザインもさることながら、リゼルやクシャトリヤ、シナンジュ、シャンブロなど
どれもキット化して欲しいの願う機体ばかり。
また、MSでけでなく人物や部隊などでも過去・未来の割く品位繋がるモノが多く描かれている。
マンハンター部隊として登場するエコーズは、閃光のハサウェイで時代背景を描写するために登場
していており、ブライトやカイ、ベルトーチカなども登場している。
私は、基本的に暗い話や人間の本性を生々しく描く作品は好きじゃないです。このガンダムは
今までにないぐらい、そういった生々しい演出が多く、過去の作品では表現できなかった本当の
宇宙世紀の真実が描かれていました。それが「サイド3の都市グローブ事件」であり、エルピー・
プルのクローンであるマリーダ・クルス、プルトゥエルブの過去。
今までのガンダムには、人間本来もつ狂気や心理などを直接描くことは少なかったと思います。
この作品では、そういった狂気や復讐心、猜疑心、人と人は分かり合えない。ニュータイプという
言葉は一過性のものであり、人間が続けてきた長い営みの中で起きた小さな波紋である、しかし、
そこにある”可能性”を信じ、ニュータイプとオールドタイプの比較したうえでその先にある
変らない未来ではなく、変えていく未来に想いを伝える、ある種、今まで様々な表現がされていた
ニュータイプ論に決着を付けるような、そのために人間本質を描き、読む側も読んで知ったうえで
それぞれの考えを持ちながら終着へと共に進むよう・・・・。
ここらへんが”大人のガンダム”と呼ばれる所以なのかもしれません。
そして、この作品を通して存在した”連邦をひっくり返すほどの謎”と呼ばれる「ラプラスの箱」
の存在。ガンダムファンは、このテーマに付いて多くの場所でこの謎に対する熱い語り合いが
行われました。私自身は、当初、「ニュータイプという存在を連邦、リカルド・マーセナスが
知っていた」とほぼ答えに近い内容を想像していたものの、ニュータイプという言葉自体が
ラプラスの箱が生まれた宇宙世紀元年にはないことでこの案は却下し、「連邦政府の首都を
コロニーに移転する内容」という事まで考えて、ガンダム仲間と熱く語り合っては矛盾点を
洗い出しあったりしてました・・・・。
この作品の大きなテーマである”可能性の獣”。
ユニコーンガンダムという存在を示すだけの言葉だと思っていた、このテーマ。しかし、”可能性
の獣”のこの作品での本当の意味。感動しました。
今からアニメ化が待ち遠しくてしょうがありません。久しぶりの真正面から見ることが出来る
ガンダム。少なからず、ガンダムオタクは特に30年という月日をガンダムと共に生きてきた私に
とって、世間にガンダム好きというステータスが認知されるまでの苦渋を知っている人間には、
00とかSEEDなどの見る側主体の作品ではなく、ガンダムと言う作り手側主体である今回の作品は
自信を持って、世間に伝えることの出来る作品だと確信しています。
まだ、読んでいない方、是非。是非、まずは小説から読んで見てください。絶対に損はしませんし、
させない作品です。
と、ほとんど文章になってなく、ただ思いついた想いを殴り書きした感じでスイマセン。
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